・「いびきがうるさい」と言われる
・夜中に何度も目が覚める
・朝起きたときに頭痛やだるさを感じる
――そんな経験はありませんか?
思い当たった方は要注意。
これらは、寝ている間に呼吸が止まってしまう、
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の兆候かもしれません。
なんとなく気づいていても「いつものこと」と放置されがちな
睡眠時無呼吸症候群のサイン。
ちょっとでも気になっている方に、知ってもらいたいことがあります。
それは、歯科医院でも治療ができるということ。
そこで今回は、歯科医院で行う睡眠時無呼吸症候群の検査や治療には
どのような選択肢があるのかについて、お話ししたいと思います。
【睡眠時無呼吸症候群とは】
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)は、
寝ている間に無呼吸状態が繰り返される病気です。
10秒以上気道の空気の流れが止まった状態を無呼吸とし、
その無呼吸が一晩(7時間の睡眠中)に30回以上、
もしくは1時間あたり5回以上ある場合を、睡眠時無呼吸といいます。
睡眠時無呼吸症候群には、
・のどが狭くなって起こる「閉塞型」、
・脳や心臓の問題が原因で起こる「中枢型」、
・その両方の要因が組み合わさって起こる「混合型」
という、3つのタイプがあります。
最も一般的なのは閉塞型で、睡眠時無呼吸症候群の知識を持つ歯科医が、
マウスピース(歯科装具)を用いて治療を行うケースもよく見られます。
【睡眠時無呼吸症候群の症状】
代表的な自覚症状は、日中の異常な眠気です。
周りの人から「いびきがうるさい」と指摘されることも多いでしょう。
感じ方や程度には個人差がありますが、
睡眠中だけでなく、日常生活の中でも様々な症状があらわれます。
▶︎寝ている間
・いびき
・呼吸が止まる
・むせる
・何度も目が覚める
・寝汗をかく
▶︎起きたとき
・口が渇いている
・頭痛
・だるさ、すっきり起きられない
▶︎起きているとき
・日中に強烈な眠気に襲われる
・だるさ、倦怠感がある
・集中が続かない
これらの症状が少しでもある場合は要注意です。
なぜなら、放置していると大きな問題につながる危険性があるからです。
【睡眠時無呼吸症候群はなぜ問題】
睡眠時無呼吸症候群には、日常生活や健康への悪影響だけでなく、
社会的な事故のリスクまでもが潜んでいます。
▶︎日常生活に潜むリスク
突然襲ってくる日中の猛烈な眠気は、集中力や判断力の低下を
招くことがあるため、物忘れや、火の消し忘れ、仕事のミス、
重要な会議中の居眠りなどにつながり、
生活に支障をきたすこともあります。
特に運転には注意が必要です。
少し調べただけでも、山陽新幹線岡山駅ホームはみ出しや、
関越道藤岡ジャンクションでのツアーバスの事故など、
睡眠時無呼吸症候群が関係している事故の事例が見つかります。
交通事故をはじめとする社会的な事故のリスクに対しては
国も注意喚起を行なっており、早期発見や治療を促しています。
▶︎合併疾患のリスク
睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、症状がない人と比べて
心臓病(心疾患)や脳卒中になるリスクが高いということが
明らかになってきています。
また、睡眠時無呼吸症候群が糖尿病をさらに進行させたり、
高血圧や不整脈を引き起こす原因になり得ることもわかってきました。
このように、睡眠時無呼吸症候群は様々な生活習慣病と合併する危険性が高いのですが、
適切に治療することで改善も認められています。
【睡眠時無呼吸症候群はどのように診断するのか】
睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合は、
検査と治療を行なっている医療機関に相談しましょう。
睡眠の状態を知ることが、治療の第一歩となります。
まず問診では、いびきの有無などの自覚症状や生活状況、既往歴、
体調変化などについて確認していきます。
次に、実際の睡眠状態を検査します。
検査には、自宅でできる簡易検査と、
入院して行う精密検査の2つの方法があります。
自宅で行う簡易検査では、検査機器を指先などに装着して、
覚醒・睡眠の深さ、無呼吸のタイプ(中枢性/閉塞性)を調べます。
簡易検査のみ行い、治療に移る場合もありますが、
原因や重症度によっては、より詳細な精密検査(入院検査)が
必要となる場合もあります。
治療の方法は検査の結果に基づいて選択していきます。
【睡眠時無呼吸症候群の治療について】
睡眠時無呼吸症候群の治療には複数の選択肢があります。
▶︎CPAP(シーパップ)
CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)は、
装置からエアチューブを伝い、鼻に装着したマスクから気道へと
空気を送り込み、のどがふさがらないようにする治療方法です。
▶︎マウスピース
寝るときにマウスピースを口に装着し、
下顎を上顎よりも前方に出すように固定させることで
上気道を広く保ち、いびきや無呼吸の発生を防ぐ治療方法です。
マウスピースは、患者さんそれぞれの咬み合わせや
お口にフィットするように、歯科医院で作成します。
▶︎外科的手術
原因が扁桃肥大やアデノイド肥大などの場合は、摘出手術が検討されます。
睡眠時無呼吸症候群は、歯科との関係性が深い病気です。
日中の強い眠気が生活に支障をきたすだけでなく、
生活習慣病の発生や悪化のリスクを高め、
全身の健康を害する危険性があります。
まずは
・肥満に気をつける
・寝る体勢を意識する(横向きに寝る)
・寝る前の飲酒を控える
など、生活習慣を見直してみましょう。
そして、症状を改善するためには、検査と適切な治療が最も重要となります。
睡眠時無呼吸症候群は、歯並びや顎の形態的特徴など、
口腔内の状態が関わることもあるので、
歯科との関係性が深い病気でもあります。
何か少しでも気になることや自覚症状がある場合には、
そのまま放っておかず、気軽に相談してください。
当院で行えるマウスピースを使用した
睡眠時無呼吸症候群(SAS)治療については、
下記のページでご案内しております。
↓
「いびき・睡眠時無呼吸症候群のマウスピース治療」のご案内